Congratulations Mr.Tsujii

Cafe モーツァルト

バン・クライバーン国際ピアノコンクールにて、日本人ピアニスト辻井伸行さんが19歳の中国人ピアニストと並んで優勝した。彼のその演奏は、素人の僕でさえ聴き入ってしまうほどのすばらしいものだった。そして彼は、日本人として初優勝したことの他に、全盲であるということで話題になっている。彼の偉業を報じるメディアのタイトルの多くが「全盲のピアニスト・・・」ではじまるのだが、なにかそこばかり強調されているような気がしてならないと思っているのは僕だけだろうか。英語では「Blind genius pianist Nobuyuki Tsujii」と表記されているようだが、日本のメディアと比較すれば、このような表現を付け加えているメディアは少ない。
アメリカ人は慣例的に「フェアであること」を重要視する。全盲ということで特別扱いはしないだろうし、純粋にピアニストとしての演奏や音楽性を評価した結論が優勝ということだったのだろう。こういうことについては、アメリカってすごく公平な扱いをする国民だと僕は思っている。
ちなみに、優れたピアニスト(というか演奏家)は真っ暗闇でも演奏できるので盲目かどうかは関係ないという人もいるが、それは練習を重ねてのことだろう。はじめてピアノを弾いたときは、そうではなかったはずである。生まれつき盲目である彼は、耳と手の感触だけでどうやって学んだのか、どうやって技術を身に付けたのか、そしてどうやって譜面を覚えたのか、その練習量も僕らの想像をはるかに超えるものだと思う。また、ソロだけではなく、楽団の中でも弾くという彼は、指揮者と意思の疎通はどのようにするのだろう?
コンクールにおいて演奏中に譜面をみることは構わないそうだが、彼にはそれができない。暗譜することが必然なわけで、それだけでも大変だと思う。彼が選んだ「カンパネラ」という曲は、健常者であっても弾く事が難しい曲なのだそうだ。

彼の優勝は素直に『おめでとう』と讃えたいし、今回の受賞は賞賛に値するものだろう。これからも世界を舞台に活躍する音楽家に成長していってほしいものだ。

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