アルカスイスとKIRKクランプ

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三脚をジッツオの三脚+アルカスイスの雲台+KIRKクランプのシステムに変更したので、その備忘録など。
今まで、雲台はGITZOのモノボールを使っていたのだが、壊れてしまったのを機に雲台交換を考えていた。いくつか候補はあったのだけど、運良くヤフオクでみつけたARCA SWISSのZ-1に決定。
雲台にあわせてクイックリリースシステム(QR)もアルカスイスタイプにすることにした。GITZOモノポールのQRは、脱着しにくかったりブラケットが回転してしまったりと、色々と不満があった。機会あって店頭でアルカスタイル互換のクランプとL-ブラッケットを手にして見ることができたのだが、クランプへの脱着は簡単かつガッチリ固定されるし、L-プレートによって縦構図でもカメラは安定するし、これはいいなぁーと前々から切り替えを考えていたのだ。

雲台「ARCA SWISS Z-1」について

まずは雲台のほうから。
このアルカスイスZ-1を実際に使ってみると、ノブの回し心地は軽いのに保持力は強力。非常に 使い易そうなモノボール雲台だ。アルカスイス自由雲台の特徴として上げられるのは、雲台のモノボールに使われているアスフェリカルボール(楕円ボール)。 中心からオフセットして設置されているため、普通の自由雲台と比べて少ない力で強力な保持力を発生するということらしい。 モノボールを締めるのは円筒形をしたノブ。その周囲にグルリと目盛がついていて、締め付け力の違いがわかるようになっている。ボクは持っていないけど、重量級レンズを付けたときなどでも、ある程度の締付け力を保持したままで可動可能で、取り外さなくても構図を変更することができるなど、何かと便利そうだ。 仕様では、ARCA-SWISS Z-1モノボールヘッドの耐荷重は59キロ。 ちょっと信じがたい数字なのだけれど、実際に使ってみるとあながち嘘でもないかもと思える驚きの保持力。 59キロと言えば天体望遠鏡でもOKなほどだが、今のところ、天体望遠鏡に使う予定は当面無し(笑)。日本での取扱いは、ケンコーが総代理店となっているらしい。皆が勧めるだけあって色々と魅力的なアルカスイス自由雲台だけど、「雲台のロールス・ロイス」とも言われるようにZ1の一番安いものでも国内価格6万円台後半と、レンズ一本買えるほどの値段が難点。ちなみに「B&H」でみてみると$400ぐらいのようだ。

クランプを選ぶ

次はクランプ。
「レバー式かノブ式か、それが問題・・・」なのだ。オクで手に入れたZ-1は、丸い台座がついているだけのクイックシュー無しモデル。この台座を交換してクランプを取り付けるわけだけど、アルカスイス純正のほか、互換メーカーとしては、Really Right Stuff の「fB2 AS II:M6」, Kirk の「SQRC-ARCA」, Winberlyの「C-12 QR」, Markinsの「QL-60i」などのメーカーと製品があり、デザインや価格の違いの他、カメラの乗ったプレートを固定する方法に各社の特徴がある。メジャーなReally Right Stuff(RRS)を始めとするレバータイプのクランプは、素早い操作が可能だが、その構造上プレートとの相性が避けられない。アルカスイス互換を謳っている各社製品同士、へたをするとRRS製品同士でも”ゆるゆる”で固定に難アリのケースもあるらしい。RRSはネット直販でのみ購入が可能で、日本国内はもとより、米B&Hでも取り扱いはない。レバータイプのRRSに対して、ノブ(スクリュー)タイプの雄は、1回転で開放⇔固定できるスクリュー式クランプが特徴であるKirk Enterprises Solutions(KES)という会社の製品。候補はこの2社に絞った。
まとめると、
■レバー式(RRSなど)
【利点】脱着が楽で速い。
【欠点】
・不用意に外れてしまうリスクが高い(ただし通常はデテントなどの安全機構が備わっているが。。。)
・互換性に難がありプレートを統一する必要がある(ただしRRS製以外のレバー式はたいてい調整機能がある)
・RRSはネット直販のみなので故障時に不安がのこる。
■ノブ式(KESなど)
【利点】汎用性が高く、プレートを選ばない。
【欠点】脱着に時間がかかる。ただし、KIRKのノブは比較的ピッチが広く脱着が速い。

米インディアナ州にあるKESのクランプは、デザインは少々ヤボっったいものの、航空機用軽量アルミ製で剛性は非常に高く、万力のような構造でがっちりとプレートを挟み込む。RRSと並び高精度で加工されたプレートの種類も豊富で、新モデル向けも揃っている。KESは、日本ではスタジオJINが国内唯一の正規代理店となっている、ボクが選んだのはこのKESクランプの方だ。KESのクランプには、汎用のユニバーサル品と雲台にあわせた専用設計のスペシャル品があり、アルカスイス-Z1向けのものは”SQRC-ARCA”($90.00)。この他にはマンフロットRCx向け製品などがある。専用品なので、固定にあたっては何の不安も無かった。

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交換は、丸い台座を外してKESのクイッククランプを載せ替えるだけなのだけど、いろいろ調べているうちに、アルカスイスはこの中心にあるネジを外せない雲台があるらしい、ということが判明。

ごく最近製造されたアルカスイス製雲台の一部で、クランプ固定ネジが非常に強力に接着されている個体を確認しております。このタイプはお客様にてクランプ交換をされることはほぼ不可能です。
ネジ頭を切削してクランプを取り外し、残ったネジ部もボール内まで切削してステム内に同サイズの雌ネジをステンレスで作り直します。 -スタジオJIN

ロットとか出荷時期なのかはよくわからないが、これにあたると素人ではまず取り外し不可でどうにもならない?みたい。その場合はスタジオJINでは有償(\8,000円)で対応を受けてくれるようだけど、このサービスはアルカの国内代理店であるケンコー(KPI)が取り扱ったKPI正規品に限られるとのこと。ボクのZ1は並行品のようでこのサービスは受けられないため、ネジが外れることを確認するまではドキドキだった。手持ちのボックスレンチ(7/16in PROTO)であっさりとはずれたものの、精度の悪い安物のボックスは肉厚で入らないということもあるらしい。インチのボックスは入手し難いので、ミリ規格なら11mmで代用可能のハズだ。Z-1のClamp交換については、Winberlyのサイト(英語のみ)でも事細かにわかりやすく書いてあったのでとても参考になった。無事にKESクランプを取り付けたZ1が、本記事一番上の写真だ。ジッツオの三脚にアルカスイスの雲台とKIRKクランプのシステムの完成である。

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カメラプレートはL型がオススメ

最後に、カメラプレート。
ARCA SWISSスタイルのクランプには、その構造上、カメラプレートとよばれる台座が必要になる。
ボクは、KES製のショートプレート(PZ-158)とL-プレート(BF-Df)の2つを購入した。それぞれ、Nikon Df専用のものだ。Lプレート代表格のRRSのものは、薄い代わりに縦構図でレリーズ使用時の接地面が少ない。KESとかサンウェイフォトのLプレートのものは、少しカメラ横が分厚くなるけど、縦構図でも接地面が多くてより安定するため、こちらがオススメだ。KESのものは、2つのプレートをネジ止めしてL型になる構造。購入したあとでわかったことだけど、Lを買ってネジを外せばショートプレートになるし、逆にショートを買っておいて、あとからオプション購入てしLプレートにすることも可能だった。脱着さえ面倒でなければ、Lプレートだけ買えば使いまわすこともできる。B&Hにて、ショートプレートが$55.00、L-プレートが$110.00だった。
写真でわかるように、コルクやゴムの類は一切ついていない。高精度で加工された金属同士であれば、弾力のある余計な付加物はかえって振動やブレの原因となるので不要。クランプは、KIRKセーフティースクリューシステムに完全対応していて、カメラプレートやレンズプレートにセーフティスクリューが装着されていれば、スライドしてもネジがクランプ中央部に当たるのですべり落ちることはない。どちらにスライドしようがクランプからプレートが外れることはないので、脱落事故から機材を守る点でも安心。また、装着したままでもバッテリやSDカードのアクセスは問題なく行えるので、つけっぱなしでも構わない。

▼これはショートプレート。固定ネジは六角レンチでガッチリ留めることができる上、形状もDfにあわせた形になっているのでズレたり回転したりすることも無い。IMG_3329

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以下は、L-プレート。
左サイドの端子部へのアクセスも問題なし。RRSのL-プレートだと、ボクの指ではゴムのフタを開けることができなかった(笑)が、KESのLプレートでは大丈夫だった。それにしてもこの手のものは、米国のRRSやKES、韓国のMARKINS、中国のSUNWAYFOTOと海外勢が主流。特にいまは、中国や韓国製が安い上に品質が良いモノも多く、目が離せない存在。日本メーカーは三脚の脚部ではいいもの出しているけど、雲台やクランプではなぜか力が無いねぇ。

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