2級船舶免許講習 その日の朝
10/1(金)の早朝、2級船舶免許講習の受講のため、集合場所である河口湖へ向かう。B級グルメで山梨の鳥モツ煮が優勝した直後なので渋滞を心配したが、平日のせいか渋滞もなく、都心から1時間半程度で到着。
河口湖の「道の駅」近くの小梅桟橋に8:30集合だったのだが、住所がボクのカーナビではピンポイントできなかったのと、プリントの案内地図がラフだったのでちょっと迷ったけど、8時前には到着。はじめから道の駅を目指していけばよかった。。。
「道の駅」前の道路を挟んだ湖畔側に芝生の綺麗な「小海公園」ってのがあり、この公園の湖に向かって左端に「ベルソン」とかかれた桟橋らしきものがある。 そこが集合場所のようだ。着いた時にはボートがあるだけで辺りには誰もいなかったのだが、道の駅でトイレを済ませて戻ってみると、スタッフらしい人が二人 ほどボートの点検らしきことをしている。「おはようございますー」と声を掛けてみると、やはりスタッフだった。名前を聞かれたので答える。ボクが一番のり らしい。湖畔の写真など撮りつつスタッフと雑談をしていると、ボク含めて3名がきたところで「時間前だけど揃ったので始めましょうか」と集合がかかる。今 日の受講者はこの3名だけらしい。男性2名/女性1名で、ボクが最年少のようだ。
ボートは2艇あるが、今日は人が少ないので出すのは1艇だけ。もう1艇は陸揚げされたままだ。
ボート定員は4名なので、混んでいるときには2艇だしても操船実習は交替制になるそうだが、今日は丸一日この3名だけで操船実習ができる。明日の実技試験も同じボートを使うらしいので少し安心した。
2級船舶免許講習 午前の部
まずは、船体や機関や装備品の点検を覚える。
講師は女性で、試験対策のポイントを交えながら次々に教習項目を進めていく。何回もやっているんで手馴れているのだろう。でも、ボクをはじめ受講者は実物 のボートを操るのは初めての人たちばかり。次々に説明されても一つ前のことを忘れてしまうような状態で、すでにオーバーフロー状態だ。他の受講者とはまっ たくの初対面なものの、目的が同じなのでいつの間にか自然に話しかけるようになる。試験に臨む不安な気持ちはみな同じ。そして予習不足なのも同じだったの でちょっぴり安心した。
次はハンドコンパスの使い方。プリズムを起こしてコンパスカードの目盛りが読めるように調整し、腕をまっすぐ水平に伸ばして目標物をとらえる。極端な誤差がなければいいので、「方位120度」とか言い切ってしまっていいそうだ。逆に「120度ぐらい」というのはNG。
桟橋でやったのは、点検、エンジンの始動、停止、暖気運転開始&終了、コンパスの使い方。時間にして1時間もない。そしてこの後は乗船して操船になる。ロープワークなどは午後にやるらしい。
ライフジャケットを着用して、緊張しつつ船に乗り込む。とりあえずボクが1番に操縦席へ座り、助手席に講師、他の2名は後部席に着座。いよいよ桟橋を離れて湖上へ向かう。講師は助手席に座ったままボクの方に身を乗り出して操船し、さらりと離岸する。
十分に岸から離れたところで操船説明。
「リモコンレバーを前進にいれたり後進にいれたりして、クラッチの繋がる感じを掴んでください」
「ハンドルを左右いっぱい切って感覚をつかんでください。右一杯から1回転半戻してハンドルの目印が2時の位置にくるところ、これが直進状態です」
「車とは異なり、ハンドルは片手で操作」
「滑走中は、この目印が左は9時、右には7時の位置以上ハンドルを切らないこと。目印を掴んだ手を離さなければこれ以上は切れないはずです」
などと説明を受ける。操船についての説明はそんな程度。単に感じを掴む程度のことで、あとは習うより慣れろということか。
発進・後進の際、操縦席から船尾に行って「船尾付近よし」と言うのは試験ではつい忘れてしまいそうだが、スクリュー付近に人がいては危険だからという説明をきいて納得した。行動理由がわかれば忘れることはないだろう。
そういえば、安全確認の言葉はプリントには「前後左右よし」と書かれていたのだが、緊張のあまり右と左を言い間違えるぐらいなら、「周囲よし」で構わないと講師が言っていた。試験では、右しか見てないのに「左よし」と言ってしまうと減点の対象なのだとか(笑)
試験中、試験官から次の指示がでない時があるらしく、その間も10秒に一回は周囲を見まわし「周囲よし」を言っておくようにとのこと。
発進、滑走、変針、後進と、ここまではぎこちないながらも何とかクリア。
次は避行操船。
学科にもあるが、衝突防止のためのルールとして状況に応じて「避行船」と「保持船」が決められていて、避行船にあたる船が回避行動をとらなければならないことになっている。
まずは横きり船の場合の航法。
講師が、右から水上バイクか帆船がやってくる絵を見せて「さて、どうしますか?」と聞いてくる。
答えは無条件に「停船します」だ。
滑走状態から、後方確認と「後方ヨシ」の発声のあと、リモコンレバーを操作し一気に減速(1000rpm以下)する。速度が落ちて「グンっ」と船首が沈み込む瞬間があるので、そのタイミングで機関中立にする。
「停船完了しました」と言って完了。
もう一つは、行合い船(すれ違い)の航法。
講師が正面から動力船が向かってくる絵を見せ「どうしますか?」と聞いてくる。
この場合は「右に変針します」だ。
右方の確認と「右ヨシ」の発声のあと、右へ舵を切る。そしてしばらくしたら、左に舵を切って元の針路に戻す。
この元の針路に戻すというのがポイント。変針じゃないので舵を右に切って直進じゃダメで、避行前に向かっていた目標への針路に戻さなければいけない。要は車線変更のイメージ。
次は、人命救助。
人命救助とはいえ実際に人を使うわけにはいかないので、ブイを水面に投げ入れて、それを救出(拾う)というもの。滑走中、講師の指示で後部席の人がブイを湖面に投げ入れた後、しばらくして停船の指示。
「後ろにあるブイが見えますか?」と人命救助の開始。
停船状態から発進するので「船尾付近ヨシ」が要るのかと思いきや、ここではやらなくていいとのこと。他にも停船状態からの発進はいくつかあるのだけど、い ずれも「船尾付近よし」は不要。「船尾付近よし」ってのが必要なのは、結局最初だけのようだ。講師に聞くと、桟橋から出るわけではないのでスクリュー付近 に人がいる危険はないとのことだが、安全確認ってそういうものか?
そして、ブイを拾うためにはUターンするわけだが、このときも「変針します」は不要なんだそうだ。
試験では言い過ぎて減点されることはないらしいが、ただ、船尾確認が要らない時に船尾に行って確認行動してしまうと減点なのだとか。ふーん。。。。。
さて人命救助だが、
「これより救助に向かいます」
「準備します」(後ろに行ってボートフック確認)
「ボートフックよし」
「風ヨシ」
「右舷(左舷)より救助します」
で発進。
先に右舷(左舷)の発声をするのは構わないが、ボートフックの場所(右か左か)と一致していないと減点。右舷から救助といったらボートフックも右舷側にないといけないらしい。
仮に「右から」と言ったのにブイが左舷に流れてしまったらどうするか・・・試験では左から拾ってしまった方がいいとのこと。やり直しは認められているが、 大きな減点の上での仕切り直しとなる。2度目を完璧にこなしたとしても、1度目で逆から拾った場合の減点の方がはるかにマシなのだそうだ。
プリントには風下から向かうのが基本と書いてあるが、これは風上でもいいとのこと。ブイを救助する時にはスクリューが停止状態(機関中立)でないといけな いわけで、つまり、惰性で進まなければならない=風下からだと進まない=風上からなら追い風に押されるから楽・・・ということ。
流れとしては、ブイ手前10メートルくらいで減速、5メートル手前で機関中立、操舵はブイにぶつけるぐらいのつもりでちょうどいいらしい。右舷先端にブイがあたったら左舵いっぱい、操縦席を離れて右舷でブイを拾って救助完了・・・という感じ。
午前中にやったのは、これくらいだったかな?
時計を見ると12時過ぎ、時間が経つのはあっという間だ。昼食タイムは1時間。受講者同士つれだって「どこからきたんですか?」なんて会話をしながら、道の駅にてランチ。午前中の反省や復習よりも、学科がぜんぜん頭に入らなかった・・・といった予習時の話題で盛り上がった。
2級船舶免許講習 午後の部
午後の講習は、蛇行から。
離岸したら、ぐいーんと湖の真中あたりまで講師の方が船を進める。湖面には、丸いブイが3つ並んでいる。
発進・増速してブイに向かうのだが、直進している間に第1ブイと第3の延長線上に何か目標を見つけておくのがポイントらしい。蛇行終了後はブイの延長線上に針路をおかないと減点対象になるのだそうで、振り返るのもだめなのだとか。
「第1ブイを右舷に見て蛇行します」で蛇行開始。第3ブイを抜けたら、ブイの並びに針路を合わせるため、先に見つけておいた目標に向かって船の針路を合わせる。そして「蛇行完了しました」の発声。
とにかく何か終わったら、「~終了(完了)しました」 もしくは、「~しました」を発声する。
試験項目には制限時間があるようで、終わったことを示す言葉がないと時間切れで0点になってしまうのだそうだ。
次は着岸。
まずは簡単な左舷着岸から。
桟橋に向かって30度の角度でアイドリングで船を進め、5メートル手前で機関中立。
2メートル手前で右舵いっぱい、船が桟橋と並行になったところでチョンと後進にいれて行き足を止める。後進にいれることで特性上、船尾が勝手に左に寄っていく(だから左舷接岸が楽)。そして操縦席をたち、桟橋の手すりを掴んだところで「着岸完了しました」
次に、ロープを使っての係留。
係留は船尾から行う。理由は、乗り込むデッキは船尾側にあり、船首を係留している間に船尾が流されて桟橋から離れてしまうと、船に乗り込めなくなるから。
船尾の係留ロープを桟橋に通し、船尾デッキのクリート(係留フック)に「クリート結び」で係留する。
そして船首の係留。
ロープが長いので、係留箇所とロープの長さをよく考えないと、ロープの長さの分だけ船首と桟橋が離れてしまう。垂れたロープが水面につくくらいの長さで係留すると丁度いいらしい。ここでは「もやい結び」だ。
余分なロープにつまずかないよう、まとめておくこと。
終ったら「係留しました」の発声。
係留したら解欄(かいらん)
ここでもロープを解くのは船首から。理由は係留と一緒。
両方のロープを手にもって乗船はせず、桟橋上で「かいらんしました」の発声。
次が離岸(左舷後進離岸)
まずは船尾を確認し「船尾付近ヨシ」。ここの減点は大きいので忘れないようにする。
桟橋を手でつかんで目一杯押して、桟橋から船を離します。右いっぱいに舵を切ったら、後方を確認して、後進に入れます。桟橋から離れはじめたら舵を戻しつつ前方を確認。船首が桟橋に当たらないことを確認するためだそうです。確認したら「船首よし」。
30メートルほど後進したら「離岸終了しました」。
これで全ての実技講習が終了だ。
午前の分を含めて振り返ると、
発進
滑走
変針
停船
後進
避行操船
行合い船の航法
人名救助
蛇行
着岸
係留
かいらん
離岸
これがそのまま実技試験の項目になる。
この時点で午後4時くらい。5時間くらいは乗っていたことになるのか。
この後は、桟橋で1時間ほどロープワークの練習。
「もやい結び」「クリート結び」「巻き結び」「いかり結び」「ひとえつなぎ」「ふたえつなぎ」「本結び」の7つ。実技試験ではこのうちの一つがでる他、係留には「もやい結び」と「クリート結び」が必須だ。
絵でみるとわけがわからないけど、実際にやってみるとそうでもない。複雑そうにみえて、「巻き」と「いかり」、そして「ひとえ」「ふたえ」「本結び」は途中までは共通なので、違うポイントだけ抑えてしまえばよい。
2級船舶免許講習 放課後
この後、みんな(といっても3名)で民宿へ移動して学科の模試。宿泊の人が泊まっている民宿だが、今回の受講者で泊まりは1名だけだそうだ。
模試の答えあわせと出題傾向の説明(新規問題は数問で、ほとんどは過去問題集から出るのだそうだ)のほか、ロープワークをもう一度おさらいした。
全体を通して気になった点などがあれば、ここで聞いておく。
ボクが聞いたのは、一番最初にやった操縦装置の確認、ハンドルを右や左にいっぱいきって、ハン ドルの感じを確認したり、リモコンレバーを前進/後進に入れたりってやつ。
「やった方がいいの?」と聞いてみると「あれは点数になんないんです」とあっさり言われた。「だけど、”印象点”というものがあって、試験官の印象次第で点数が付くものがある」のだとか。
「操縦装置の確認をやっておくとその印象点がもらえるので、そういう意味では、やったほうがいい」のだそうだ。
明日の試験段取りの説明や、合格した場合の免許証の発送方法の説明(着払い伝票に送付先住所を記入)をうけて、7時ぐらいに解散。時間に余裕があるのと受講者が3名しかいないので、納得いくまで教えてもらえるのはいいね。
ボクはこのあと、宿泊先である山中湖まで車で移動したが、泊まりの1名は講師(一緒に泊まっていたらしい)から実技の流れをじっくりと教わったのだそうだ。実技等で不安な人は民宿泊が絶対お勧めのようです。
宿である保養所のついて食事を済ませると、アタマの中は日中の復習で一杯。
部屋でロープワークの練習してみたり、もらったプリントで復習してみたりもしたが、いまさらじたばたしても始まらない・・・と腹をくくった。
明日は8:30集合なので、遅くとも7:30にはチェックアウトしたい。。。。。寝坊しないようにと、早めに就寝。12時前に寝るなんて、なんて健康的なんだろう。
緊張して寝れないかも・・・なんて思っていたのだけど、杞憂におわった。朝早かったこともあって、あっという間に寝てしまったようだ。
2級船舶免許取得記~その1(準備編)
2級船舶免許取得記~その2(実技講習)
2級船舶免許取得記~その3(受験編)
2級船舶免許取得記~その4(完結編)
独学で特殊船舶免許取得に挑む(準備編)
独学で特殊船舶免許取得に挑む(受験編その1)
独学で特殊船舶免許取得に挑む(受験編その2)
独学で特殊船舶免許取得に挑む(完結編)
独学で1級小型船舶免許取得~その1(準備)
独学で1級小型船舶免許取得~その2(受験)
独学で1級小型船舶免許取得~その3(おわりに)